今月初旬に行方不明になっていた高知市神田の無職、美智子さん（２７）の遺体が同市久礼野の竹やぶで見つかった事件で、死体遺棄容疑で２７日逮捕された２人は中村さんと一緒の中学校に通っていた同級生と後輩だった。明るく、人を楽しませるのが好きな中村さんと２人の間に何があったのか。友人や近所の人に衝撃が広がった。
　中村さんの遺体が埋められていた竹やぶは、坂本孝生容疑者（２６）＝須崎市多ノ郷甲＝の実家敷地内だった。民家が点在する山間部の集落内で、高知市中心部から車で約１５分の距離にある。遺体が埋められていた穴にはブルーシートがかけられていた。周囲には竹や杉が生い茂っており、昼間でも薄暗く、家の前の道路には人通りがほとんどなかった。
　同級生や近所の人によると、中村さんは高校中退後、高知市内でペットショップを経営していたが、約１年で経営に行き詰まり、数年前から徳島に働きに出ていた。母親の病気で昨年ごろから高知に戻り、一人暮らしをしていた。
　中村さんは松本俊成（しゅんせい）容疑者（２７）＝高知市一宮しなね２＝と中学時代の同級生。坂本容疑者は１年後輩だが、面識はなかったという。松本容疑者とは中学卒業後も交流があり、徳島に行く際、飼っていた複数の犬の世話を任せたと友人らに話していたらしい。
　近所の人は愛犬を抱いて歩く中村さんの姿をよく見かけたといい、「顔を合わせるとニコニコあいさつしてくるような人。トラブルなどは聞いたこともない」と事件にびっくりした様子だった。
　県警は遺体発見の後、２７日午前１時過ぎに２人を逮捕し、異例の同２時から高知南署で記者会見を開いた。田中裕章署長らは「交遊関係を捜査し、疑わしい２人を聴取した」と逮捕の経緯を説明した。しかし、高知市大津のパチンコ店の駐車場で見つかった中村さんの車には現金数万円入りの財布が置かれたままで、自宅から盗まれたものもなく、「今のところ確証のあるトラブルはない」と話した。
　県警は同日午後、高知地検に２人を送検。今後、殺人容疑で追及するとともに動機面の解明も急ぐ方針